経済の古典入門

竹中平蔵『経済古典は役に立つ』

f:id:highjamp:20171215131411j:plain


本書について

本書は、2010年4月から7月にかけて、筆者が慶應義塾大学丸の内キャンパスで行った講義をもとに作られた。本書は、以下の古典の内容とその著者についてそれぞれ解説するという形式をとっている。

 

アダム・スミス国富論

R・マルサス 『人口の原理』

D・リカード 『経済学および課税の原理』

K・マルクス著、F・エンゲルス編 『資本論

J・M・ケインズ 『雇用、利子および貨幣の一般理論

J・A・シュムペーター 『経済発展の理論』、『資本主義・社会主義・民主主義』

M・フリードマン 『資本主義と自由』

F・A・ハイエク 『隷属への道』

R・E・ワグナー、J・M・ブキャナン 『財政赤字の政治経済学』

 

筆者は、これらの古典を読み解くうえで、「こうした名著も当初から古典という地位にあったのではなく、当時の経済社会の問題を解決するという目的で書かれた」という事実に注目し、次のように書いている。

 

このことは重要な点を示唆している。

私たちがいま直面している経済社会の問題を解決するうえで、経済古典と言われる文献がきっと多くの示唆を与えるに違いない、という点だ。

 

本書はこのような視点から、経済古典を解説したものだ。具体的には、

①当時の経済社会における問題はなんだったのか

②それに対して筆者はどのような解決策を提示したのか

という2点について重点を置いて書かれている。

 

また、古典の書き手の間には影響関係がある場合も多い。例えば、マルサスの議論の出発点はアダム・スミスの議論への批判であり、ケインズシュムペーターの議論はマルクスを強く意識したものである。本書ではこうした点についても解説されている。

 

とてもわかりやすく解説してあり、自分のような初学者にも向いていると思うので、よかったらぜひ。